英国に移住された中内さんからメールを頂いた。御存知の読者も多いと思うが、前ブラバムのオーナーであり、ミレ・ミリアにも出場したエンスージェストでもある。微力ながらブラバム時代は僕もお手伝いをしていた。メールは英国の車の話題を中心に専門の日英比較文化の見地から、ユーモアも交えた面白い文面で、中内さんの人柄も現れたものだった。もったいないから何かで紹介すれば良いのにとも思った。土着単一民族超社会主義的談合3兄弟ものさし文化と多民族抗争緊張個人主義文化の比較論は誠に面白い。
さて、ブラバムお手伝い時代を思い出しながら、今回は久々のF1、1/20ブラバムBT58・・予備予選のマクラ−レンである。このマシンはカラーリングもブラバムらしくてカッコイイし、好きだ。得にこのシーズンのモナコでの活躍は印象深い。今回は3位になったS・モデナでなく、ファンであるM・ブランドル仕様で、又その理由も少し。
形状データ(dxf)をネットで岡山に送る
以前少し触れたが、この58は以前製作した24の原型をPICZAで読み込み、20にスケールアップして製作した。原型をPICZAで読み込みスケールアップする事は既に御紹介したが、今回はそれに加えて形状デジタルデータ化の利点であるデータ転送の御紹介をしよう。今回、協力してくれたのは、岡山で模型の完成品の工房をやっている西野さんだ。彼とはMODELAのインターネット販売を通じて知り合ったのだが、今回1/20の形状データをネットで送り、1/43で製作してもらおうと思っている。つまり1/20で製作した僕の原型データが瞬時に岡山の西野さんの所に届き、そのデータからスケールの別なBT58が生まれる訳だ。現在のデジタル環境を理解している方なら当たり前だと思うが、考えてみると10年前なら大企業でもあまりやっていなかった事が現在はそんじょそこらで売ってるパソコンで出来てしまうのだ。今回西野さんを御紹介したのは、彼が現在の活動をする事になった理由も紹介したかったからだ。彼は数年前に事故でハンディキャップを負い、自宅で出来る仕事として以前からやっていた模型という趣味を生かす事を考えたという。ホームページを開設し中々盛況との事だ。デジタルネットワーク環境の中では、彼の身体的なハンディーは問題にならないのだ。僕は岡山には94年会田に行った以外は無く、昔だったら鎌倉の僕が岡山の西野さんと知り合いになる事事体無理だったろう。パソコンとモデラがネット環境により地域、距離の問題をなくしたのだ。彼とはキットの共同開発も可能なのである。考えると『都会の駅前、便利は良いが狭いアパート』より『自然豊かで空気が良く広い所』の方がどー考えても住環境は良い訳で、わざわざ会社に出社しなくても仕事の出来る人は今後増えるだろう。交通費もかからないし実に合理的である。都会駅前の土地が高いという価値感が未来も持続するのだろうか?又人間が現在以上に早く大量に移動する事に大規模な資本を投下する価値があるのだろうか?
某経済誌で記者を勤める友人から聞いた話だが、某外資系銀行の閉店後の業務は全てデータをインドに飛ばし行っているという。アメリカでは弁護士の業務とか医療カルテなんかもインドが多い。能力が同じで人件費が安ければ当然の事で、ヨーロッパでも保険の時間外業務とかはアイルランドのダブリンが多いとの事。最近、公的資金を投入した某国金融機関はどうだろう?・・去年、ネットバンクの実験が開始されたというので支店に問い合わせたが、要領を得ず、教えられた電話はマイクロソフトの留守番電話であった。又、例えば現在10万以下のパソコンでも、ちょっとした市町村の住民データ程度は全て管理できる位の能力がある筈だ。僕の本業はお役所の証明というものを顧客に要求する事が多いのだが、人件費を使わずに合理的にする方法はいくらでも在る筈だ。最近何の為に金を払っているのか分からなくなる事もある。MODELAを使いはじめてから僕のパソコン操作能力は飛躍的に向上したが、(これが単なる仕事だったらこんなにやりませーん!)デジタルネットワーク環境を理解する程、腹の立つ事が多くなっているのは僕だけだろうか?
こんな事を言うと、益々我が国ではリストラが進み失業者が増える!と思う方も居るだろう。その通りである。しかし新たな形でのビジネス、雇用も生まれる訳だ。デジタル環境の進歩は非合理的な技術、システム、制度や価値といったものを根本から変えて行くパワーがある。問題が何処に在るのかもはっきりして来るのだ。そしてそれらが改善されれば我が国の景気が悪いなんて事は無いと思う。・・・あれっ?これ模型の本だったけ?最近女房からも文句ジジイと呼ばれておりまして・・本題はキャプションを読んで下さい。
マーチン・ブランドルが好きな訳
91年の日本GP決勝日に彼は突然、今日は走らない!と言い出した。ブランデルがまさかの予選落ちをしてしまい、スポンサーも多く見に来ているレースでもう1台のマシンも出走しない事になったら一大事である。理由はモナコのギャラを払ってくれたら走るだった。この年のモナコGPで、彼は予選時の信号無視で失格になっていた。中内オ−ナ−激怒し、ルーキーならともかくギャラは払わない!となっていたのであった。彼はこのチャンスに交渉してきたのだった。我々日本人のノリでこういう事が出来るだろうか?結果は彼の思い通りになり、しかも5位入賞という成績も残した。中内さんはレースの間、どっかでぶつかっちまえと思いつつも声援するという複雑な心境だったとの事。写真はレース終了直後、スゲー険悪な雰囲気の中この話をしている所で、日本のスタッフから『直接頼むと社長(中内さん)に怒られるから、寺部さんお願い。』と頼まれサインをもらっている場面であります。
MODELAユーザーグループ『日本小型切削振興協会』(仮称)設立のお知らせ
以前からユーザーグループを作ろうという声がかなり出ていたのだが、今回僕や材料を提供している田木屋さん、熱心なユーザーの方々が中心となって設立する事になった。詳細は夏頃までに決定する予定です。現在までに全国では1万数千台のMODELAユーザーが居るのだが、ユーザーが相互に情報交換し技術を高めあったり、共同で新しいもの作りが出来ればと思います。当然今回の様にネットを利用した試みも色々なアイデアが出ています。『日本小型切削振興協会』は僕のアイデアで仮称ですから、でも個人的にはライトブルーの作業服に刺繍文字のユニホームを作りたい等と思ってますが・・ユーザーは勿論、興味の在る方、製造業種の方まで(実はお問い合わせが多い)参加、御協力頂ける方は下記へ
http://www.tagiya.co.jp/ (田木屋さんのURLここのMODELA伝言板へメッセージを)
http://home.interlink.or.jp/~mkuri/index.html (ユーザー協力者kuriさん)
http://mx3.tiki.ne.jp/~kohtetsu-doh/ (今回の西野さんの工房『鋼鉄堂』)
岸田氏の力作であるダイハツP3は24の原型が完成し生産準備中ですが、43が先に完成しました。近々再生産のプリンスR3801/24も写真の様に43化を進めております。これらは今回と同様、24の原型から製作したものであります。実は読者の方から現存のプラモデルをスケールアップしてキット化して欲しいという依頼がいくつか来ております。でっ何と言うか・・我々が最初から作ったものをデジタルコピーしてキット化したり、昔のボコボコの物を素材の一部として利用するのは良いと思うのだが、完成度の高い最近の製品をコピーして単にスケールを変える。(勿論個人で楽しむのは問題無いと思うが、)キット化しちゃうというのは申し訳ないが我々の良心として出来ない。確かにそこにも何らかのクリエイティブはあるのだが、(だから僕も解説したりしてますが)ハッキリ言って誰にでも出来る事なので、それで商売する気にはなれないんです。以前、MODELAの専門誌に協力した時にそんな話が出て、その時の編集者も元ミュージシャンだったんだけど、『そんな事言ってたら今の音楽全部パクリってー事になっちゃうね』なんて話が出ましたが、もの作りしてるなら少しは気概ってーもんが必要だと思います。世の中に模型化されていない車はまだ沢山存在してますから我々は単なるコピーはいたしません。この連載の企画上必要であればそのメーカーに許可を求めてやりたいと思いますのでよろしく!